平成18年8月21日

国立科学博物館 産業技術史講座

「私達の生活と産業を支える非鉄金属材料 鉛と亜鉛」

 

 広辞苑によれば亜と言う文字は接頭語としてつぎ、次位、次類等の意味でたとえば熱帯に対して亜熱帯等がある。亜鉛という文字を素直に読むと鉛と非常に深い関係にあるだろうと思うのが自然である。果たしたそうだろうか? 実際は亜鉛と鉛は特別の関係はないいわば他人同士である。
ここでは鉛、亜鉛の生い立ちについて概要を述べ、特に明治以降から今日に至るまでの用途開発、生産方法の変遷、原料問題、公害問題、リサイクル問題等について現状を述べ更に21世紀にどの様にあるべきかについても述べてみたい。
1.鉛とは

 鉛は自然銅、自然金、に続いて最も古くから人類が使用した金属で、紀元前3000年頃エジプトで魚網のオモリ、小装身具、耳輪などに使われている。ローマ時代に入り水道用に鉛管を使用している。AD1400年頃には活字印刷が発明され、鉛合金の活字が使用されている。
日本においては1500年代弾丸用として使用されている。明治になり水道用鉛管が使用され始め、今日では鉛バッテリー、耐食材料、電極材料、放射線防護材料、遮音材料等として多方面に使用されている。
 
2.亜鉛とは

 亜鉛は金、銅、鉛、等と比較して金属として認知されるのは大幅に遅れ16世紀になってからである。その理由は亜鉛の特性によるもので、亜鉛は金属として自然界に存在していないこと、亜鉛を含む鉱石を還元した場合1,000℃以上になれば蒸発して酸化物となるため、金属亜鉛を捕集することは困難であった。しかし亜鉛が有用な元素であることは銅と亜鉛の合金である黄銅の製造は紀元前1000年頃から始まっている。ローマ時代になり黄銅の用途は飛躍的に広がり貨幣として使用されたほか装飾品、武具、等に広く用いられた。
日本では平安初期にペルシャ産の黄銅についての知識はあったが、製造に成功したのは1600年ごろである。現在亜鉛の用途は鉄鋼を腐食から守る所謂「プロテクター」としての用途を筆頭に、ダイカスト部品、銅との合金、亜鉛化合物(医薬品、ゴムの添加物等)等広範囲に使用されており、その消費量は鉄、アルミ、銅についで4番目である。
 
 
1. 日時 平成18年11月11日(土) 14時00分〜16時00分
2. 場所 国立科学博物館上野 新館3階講義室
3. 講師 酒匂 幸男(前産業技術史資料情報センター主任調査員)
4.

募集

40名(高校生以上一般向)
5. 申込方法 往復はがきもしくは電子メールで受付 10月21日締切(消印有効)

〒169-0073
東京都新宿区百人町3‐23‐1 国立科学博物館 新宿分館 研究協力室

電話:03-5814-9875
電子メール:sts2004@kahaku.go.jp
       
往復はがきまたは電子メールで(1)11月11日:産業技術史講座、(2)参加者氏名、(3)住所(返信用にも)・メールアドレス、(4)電話番号、(5)年齢、(6)職業又は学年、を記入。応募者多数の場合は抽選。
   
  関連ホームページ 「国立科学博物館‐産業技術史資料情報センター」